海外商標はいつ相談すべき?(後編)
海外案件担当者に聞く、海外商標の費用と進め方のポイント
「海外商標は、どれくらい費用がかかるのでしょうか。」
海外案件担当者によると、この質問も多く寄せられる相談の一つです。
「まずは概算だけ知りたい」「マドプロと個別出願では費用は違いますか?」「国が増えると、どのくらい費用が変わりますか?」
海外商標の費用は、出願する国や区分数、出願方法など、さまざまな条件によって異なるため、一律にお答えすることはできません。
そこで今回は、YKI国際特許事務所で海外案件を担当する葦原さん、浅見さん、関原さん、吉田さんに、海外商標の費用が決まるポイントや、お客様への提案で大切にしていることについて話を聞きました。




<左から>葦原 エミさん 浅見 祥子さん 関原 亜希子さん 吉田 麻実子さん
海外商標の費用を左右する5つのポイント
「海外商標はいくらかかりますか?」
海外案件で、担当者が最も多く受ける質問の一つです。
しかし、この質問に「○○円です」と一律でお答えすることはできません。
──海外商標の費用は、何によって決まるのでしょうか。
海外案件担当者はこう話します。
「一番大きいのは、どの国へ出願するかですね。
そのほかにも、出願する国の数や商品・サービスの区分数、個別出願かマドプロを利用するかなど、いくつかの要素が組み合わさって費用が決まります。」
海外商標は、日本国内の商標出願とは異なり、国ごとに制度や必要な手続きが異なります。そのため、出願先や事業内容によって必要な費用も変わってきます。
例えば、次のような要素が費用に影響します。
- 出願する国・地域
- 出願する商品・サービスの数、およびその区分数
- 個別出願かマドプロか
- 現地代理人への依頼内容
- 審査中に対応が必要になった場合の手続き

同じ海外商標でも、必要な書類や手続きは国によってさまざまです。
そのため、『海外商標はいくらです』と一律でご案内するのではなく、お客様の事業内容や出願したい国を伺った上でお見積もりをご案内しています。」
また、「できるだけ費用を抑えたい」というご相談も少なくありません。
担当者は、こんな考え方を大切にしています。
「もちろん費用は大切です。ただ、最初から『一番安い方法』を探すよりも、『どの国でブランドを守る必要があるのか』を整理した方が、結果として無駄な出願を減らせることも多いんです。」
海外商標は、価格だけで比較するものではありません。事業計画に合わせて、本当に必要な国・必要な方法を選ぶこと。それが、長い目で見るとコストを抑えながらブランドを守ることにもつながります。
マドプロと個別出願、どちらを選ぶ?
海外商標をご検討中のお客様からは、「マドプロを使った方が費用を抑えられますか?」というご質問もよくいただきます。
マドプロ(マドリッド協定議定書に基づく国際登録制度)は、1回の手続きで複数の加盟国へまとめて商標出願できる制度です。更新や名義変更なども一括で管理できるため、複数の国へ出願する場合に便利な制度です。
一方で、担当者はこう話します。
「マドプロが便利だからといって、すべての企業に最適というわけではありません。」
事業を展開する国や今後の計画によっては、各国へ個別に出願した方が柔軟に対応できるケースもあります。そのため、YKI国際特許事務所では制度だけで判断するのではなく、お客様の事業計画を伺った上で、どちらが適しているかをご提案しています。
「費用だけを見るとマドプロの方が良さそうに見えることもあります。ただ、ブランドをどのように守っていきたいのかまで考えると、選ぶべき方法は企業によって変わります。」
海外商標では、「どちらが安いか」ではなく、「どちらが事業に合っているか」という視点が大切です。
見積もりの前に、まず事業のお話を伺います。
マドプロか個別出願か。どちらを選ぶかによって費用や手続きは変わりますが、それ以上に重要なのは、お客様の事業に合った方法を選ぶことです。
そのためYKI国際特許事務所では、すぐに見積もりを作成するのではなく、まず事業内容や今後の海外展開についてお話を伺っています。
担当者は、その理由をこう話します。
「まずは、どのような事業を考えているのかを伺います。」
「海外展開の目的や、今後どの国へ広げていきたいのかによって、ご提案する内容が変わるからです。」
例えば、
- まずは台湾だけで販売したい企業
- 将来的にアジア全域へ展開したい企業
- 欧米への進出も見据えている企業
では、最適な出願方法も、優先して権利を取得すべき国も異なります。
「そのため、私たちは最初に『いくらかかりますか』ではなく、『どんな事業展開を目指しているのか』をお聞きしています。
事業の方向性が分かれば、本当に必要な国や出願方法も見えてきます。」
費用はもちろん大切です。しかし、それ以上に大切なのは、事業に合った形でブランドを守ること。YKI国際特許事務所では、その考え方を大切にしながら、一社一社に合わせたご提案を行っています。
海外案件は、一人では完結しません。
海外商標は、日本で書類を作成して終わる仕事ではありません。
出願先となる国・地域には、それぞれ制度や実務を熟知した現地代理人がおり、YKI国際特許事務所は、そのパートナーと連携しながら案件を進めています。
担当者は、海外案件についてこう話します。
「海外案件は、一人ではできません。」
「国によって制度も違えば、必要な書類や審査の進め方も異なります。制度が改正されたり、運用が変わったりすることもありますし、日本では当たり前のことが海外ではそうではない場合もあります。」
だからこそ、YKI国際特許事務所では現地代理人との信頼関係を何より大切にしています。
「普段から情報交換を重ね、お互いの状況を理解しているからこそ、何かあった時にもすぐ相談し、対応することができます。海外案件では、この”顔が見える関係”が本当に大切なんです。」
また、海外案件では時差だけでなく、国ごとに休日や商習慣、制度運用の違いもあります。そのため、案件ごとに状況を共有しながら、各国の代理人と密に連携し、お客様へ迅速に状況をお伝えできる体制を整えています。
海外商標は、書類を提出して終わる仕事ではありません。
国ごとの制度を理解する現地代理人と連携し、お客様の事業に合わせて最適な方法を考え続けること。その積み重ねが、安心して海外展開を進められるサポートにつながっています。

まとめ
海外商標の費用は、出願する国や区分数、出願方法など、さまざまな要素によって決まります。そのため、「海外商標はいくらですか」という質問に、一律でお答えすることはできません。
だからこそYKI国際特許事務所では、費用だけでなく、お客様の事業内容や海外展開の計画を丁寧に伺い、本当に必要な国や出願方法をご提案しています。また、各国の現地代理人と連携しながら、一つひとつの案件に合わせたサポートを行っています。
最後に、担当者から海外展開を考える方へのメッセージです。
「海外商標は、国ごとに制度や手続きが異なるため、不安や疑問を感じる方も多いと思います。私たちは、お客様の事業内容や今後の展開を丁寧に伺い、一つひとつの案件に合わせたご提案を心がけています。海外展開のパートナーとして、お客様に寄り添いながら、一つひとつの案件を丁寧にサポートしていきます。まずはお気軽にご相談ください。」
取材・構成:西田 ひとみ
