米国研修~ワシントン大学ロースクール~
2013年夏、ワシントン大学ロースクール(シアトル)で開催されたCASRIP(Center for Advanced Study & Research on Intellectual Property)というプログラムに参加しました。
USPTOやCAFC(ワシントンDC)を見学するオプショナルツアーを含めると、約3週間のプログラムです。


このプログラムの講義は、ロースクールの教授陣や実務経験豊富なローファームの弁護士らによって行われ、特許法、商標法、著作権法を中心とする米国の知的財産関連法の概説から、米国におけるパテントプロセキューション・リティゲーションの実務に関するものまで多岐にわたります。
プログラムの後半には、機械・電機・化学の各分野に分かれて、重要判例の紹介や特許明細書の具体的な作成方法について講義が行われました(私は化学を選択)。
また、ローファーム等主催のレセプションパーティーが数回行われ、米国の弁護士や判事、参加者らとの交流の場が多く設けられていました(右下の写真はCAFCの中で開催されたもの)。
本年度の参加者は、台湾から32人、日本から24人、中国から15人、韓国から11人など東アジア人が中心でしたが(例年同様)、ドイツ、フランス、タイ、インド、カナダなどからも数名の参加者がありました。職業は、弁理士、弁護士、審査官(官僚)、判事、技術者、国会議員、学生など様々でした。


本プログラムにおいても、米国特許法改正(AIA)の話題が多く取り上げられました。
加えて、特許法の保護対象についても多くの議論がなされました。これは、本年6月にMyriad事件の最高裁判決が出たことによります。この判決では、今まで保護対象であると考えられてきた単離されたDNA断片が、自然産物であるとして法定の主題に該当しないと判断しました。これにより、日本や欧州では保護対象となる単離DNA断片が、米国では保護対象から外れました。Bilski事件の最高裁判決があって一段落していた保護対象に関する議論が再燃しそうです。
2013年12月 谷村 敏博