【商標ニュース】「Pocky(ポッキー)」が立体商標として登録!
― お菓子の形状が長年の使用により立体商標として登録された事例 ―
(商標登録第6951539号)
江崎グリコ株式会社の主力ブランドである「Pocky」の商品形状が、2025年7月25日付で立体商標として登録されました。

商標登録第6951539号 指定商品:チョコレート菓子
◆ 立体商標とは
立体商標とは、立体的な形状そのものを商標として登録・保護する制度です。
ただし、単なる商品の形状は取引の際に誰もが使用したいものであり、特定の者だけに独占させるのは公益上妥当でないため、一般的に登録は難しいとされています。
◆ 「ポッキー」の立体商標の審査
今回のポッキーの形状についても、特許庁の審査では「近似した構成からなるチョコレートを使用した菓子が一般に取引されている実情が見受けられ、その商品の内容や特徴を普通に用いられる方法で表したものと認識するにすぎない」(つまり識別力がない)として、拒絶理由が通知されました(商標法第3条第1項第3号)。
◆ 登録が認められた理由
これに対して江崎グリコは、
● 消費者アンケート(9割以上が商品の形状を見て「ポッキー」と回答)
● 売上・市場シェアのデータ
● 広告宣伝の実績
を提出。これにより、当初は識別力がなくても、長年の使用を通じて消費者が特定のブランドとして認識するに至ったとして、商標法第3条第2項の規定により登録が認められました。
◆ 他のお菓子の事例
同様のケースとして、株式会社明治の「きのこの山」(登録第6031305号)や「たけのこの里」(登録第6419263号)(指定商品:チョコレート菓子)も、審査で識別力がないという拒絶理由が通知されましたが、使用の実績を根拠に登録されています(商標法第3条第2項適用)。

商標登録第6031305号及び第6419263号 指定商品:チョコレート菓子
一方で、ネスレは、「KitKat(キットカット)」の形状を立体商標として出願していますが(商願2020-121513)、こちらは審査では登録が認められず、審査の上級審である拒絶査定不服審判において審理が続いています(2025年9月16日現在)。

商願2020-121513 指定商品:チョコレート菓子
◆ これも商標!?お菓子の立体商標
この他の例として、以下のものが立体商標として登録されています。
・名古屋土産のヒヨコ型スイーツ「ぴよりん」(登録第5663067号)

・HARIBOクマ型グミキャンディ(登録第5800440, 5800441, 5800442, 5800443, 5800444号)

◆ まとめ
このように、菓子の形を立体商標として守ることは、メーカーにとってブランドづくりに大きな役割を果たします。立体商標による商品形状の保護は、今後ますます注目を集めそうです。
出典:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
商標グループ 弁理士 角田 智香子