お知らせ

欧州 モノクロ商標に関する新ガイドラインについて

モノクロ商標について、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)のガイドラインが改定されました(2014年6月2日から適用)。
従来は、モノクロ商標は全てのカラーをカバーすると考えられてきましたが、今回の改定でモノクロ商標の同一性について明文化され、モノクロ商標が全てのカラーを保護するものではないことが明確になりました。したがって、今後、欧州に商標出願を行う場合は、カラーで使用するかも十分考慮して権利化することが重要となります。

主な改定ポイントは以下の3点です。

1.優先権主張について
モノクロ商標に基づき優先権を主張して、カラーの同一標章を出願した場合、両者の同一性は認められるか?
→原則として同一性は認められない。しかし、下記のように、色の違いが通常の消費者が気付かないほど些細なものである場合は同一性が認められる。

同一性が認められない例

優先権主張する欧州共同体出願

優先権主張する欧州共同体出願

優先権の基礎となる第一国出願

優先権の基礎となる第一国出願

同一性が認められる例

優先権主張する欧州共同体出願

優先権主張する欧州共同体出願

優先権の基礎となる第一国出願

優先権の基礎となる第一国出願
2.相対的拒絶理由について
他人の先行商標との関係による相対的拒絶理由の判断において、先行商標がモノクロで後願商標がカラーの同一標章である場合、両者の同一性は認められるか?
→原則として同一性は認められない。しかし、色の違いが通常の消費者が気付かないほど些細なものである場合は同一性が認められる。なお、類似性の判断は同一性のそれとは別に行われる。

同一性が認められない例

先行商標

先行商標

後願商標

後願商標

同一性が認められる例

先行商標

先行商標

後願商標

後願商標
3.真正な使用(genuine use)について
モノクロで登録された商標を色違いで使用すること(又は、その逆)は認められるか?
→下記の条件を満たす場合は、真正な使用と認められる。
・文字又は図形要素が一致しており、それが主要な識別要素である場合
・色合いの対比が重要である場合
・カラー又はカラーの組合せそれ自体が識別性を持たない場合
・カラーが商標全体の識別性に主として寄与するものでない場合

真正な使用と認められた事例

登録商標

登録商標

現実の使用

現実の使用
出典:OHIMホームページ OHIM News June 02, 2014
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