お知らせ

PCT (UK) Fast Track:英国に国内移行されたPCT出願について早期審査の請求が可能になりました

2010年5月28日以降、PCTによる国際出願の出願人は、肯定的なIPRP(International Preliminary Report on Patentability,特許性に関する国際予備報告)を受領した場合、英国での国内段階の審査について英国知的財産庁に対し早期審査を請求できます。この早期審査の請求は、IPRPがPCTの第1章および第2章のいずれに従って発行されていても可能です。


適用要件

国内段階に移行される出願に含まれるすべてのクレームについて、国際段階において審査され、新規性、進歩性、および産業上の利用可能性を有すると認定されていることが早期審査の実施の要件となります。つまり、国内段階に移行される出願に含まれるすべてのクレームについて、IPRPで考慮されていなければなりません。

IPRPにおいて、特定のクレームについて審査されていない旨が示されている場合、この早期審査の対象にはなりません。

また、IPRPにおいて、新規性、進歩性、または産業上の利用可能性について否定的な見解が示されている場合も、この早期審査の対象にはなりません。

なお、この早期審査は、すでに英国への国内移行手続が完了しているPCT出願および2010年5月28日以降に国内移行手続されるPCT出願について請求可能です。


手続

当該出願について肯定的なIPRPを受領したことを記載した書面により、早期審査の請求を行う必要があります。早期審査の実施のために、肯定的なIPRPを受領したことの他には如何なる理由も必要ありません。

英国知的財産庁における処理を迅速にするため、早期審査に係る出願に関するすべての通信書面において、早期審査に係るものであることを明示する(例えば、”URGENT - ACCELERATED PROCESSING REQUESTED”などと記載する)ことが望まれます。

WIPOによるIPRPの複製の提供が万一遅れた場合、英国知的財産庁は、手続の迅速化のため、出願人に対してIPRPの複製の提出を求めることもあります。

早期審査の請求は、審査官により検討され、当該早期審査の請求が認められるか否かが通知されます。早期審査の請求が拒否される場合、拒否される理由が通知されます。早期審査の請求が認められる場合、早期審査が行われます。英国知的財産庁は、現時点では、少なくとも90%のケースについて、早期審査の請求から2ヶ月以内に実質的な審査報告を発行することを目標としています。

なお、この早期審査は、三極特許庁(USPTO(米国特許商標庁)、EPO(欧州特許庁)、およびJPO(日本の特許庁))の間で合意されたPCT-PPH(PCT特許審査ハイウェイ)とは異なるものであり、IPRPを発行した機関に関わらず、すべてのIPRPについて適用されます。また、この早期審査は、二国間あるいは多国間の合意によらず、英国にて独立して発足されたものです。


関連情報

PCT (UK) Fast Trackについて:
http://www.ipo.gov.uk/press-release-20100528
http://www.ipo.gov.uk/pro-types/pro-patent/p-law/p-pn/p-pn-fasttrack.htm
http://www.wipo.int/pct/en/newslett/2010/06/article_0001.html

特許審査ハイウェイについて(参考):
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/patent_highway.htm

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