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中国専利法第三次改正の要点(2009年10月1日施行)

2009年10月1日に施行された中国専利法の第三次改正の要点を以下にまとめました。

1.総則

(1)発明、実用新案出願の取扱(新設:9条1項)

発明、実用新案両方を出願する場合には、(a)同一出願人、(b)同日出願、という2つの要件を満たす必要がある。これらの要件を満たしていないと、自らの先の出願によって、後の出願は権利が取れないおそれがある。

(2)権利侵害の範囲(11条2項)

意匠権者は、他人が許諾なく専利製品の販売の申し出を行うことを禁止することができるようになった。

(3)権利共有者の権利の行使(新設:15条)

共有者は単独で専利を実施又は実施を許諾することができる。

(4)渉外専利代理機構の指定の廃止(19条1項)

法に基づき設立された専利代理機関であれば、専利業務を全て代理できる。

(5)中国に先に出願する制限の緩和(20条1項、4項)

現行法では、「中国の単位又は個人が、中国国内で完成した発明、創作を外国に専利出願する場合、先ず国務院専利行政部門に専利出願しなければならない」と規定されている。しかし、今回の改正法では、中国で生まれた発明は秘密保持審査を通れば、中国を第1出願国とする必要がなくなった。

2.専利権の付与

(1)絶対的新規性基準の導入及び抵触出願の主体の拡大(22条)

新規性の基準として、「国内外公知、公用」が採用された。

(2)明細書記載要件の厳格化(26条4項、23条、25条、27条、59条2項、31条2項、61条2項)

今回の改正では、外観設計制度の見直しがなされた。改正内容は、外観設計の保護対象から、付与基準、出願書類、保護範囲の解釈、特許権評価報告書制度の導入まで、外観設計制度全般に亘っている。

3.専利権の保護

(1)公知技術の抗弁(新設:62条)

実務において既に定着した「公知技術の抗弁」が専利法において明文化された。

(2)専利詐称行為に対する専利行政管理部門の権限の拡大(64条)

(3)損害賠償額の増加(65条)

損害賠償金の確定が困難な場合に適用されてきた「定額賠償」の上限が50万元から100万元に引き上げられた。

(4)提訴前の仮処分の取扱の明確化(66条)

(5)提訴前の証拠保全の取扱(新設:67条)

(6)並行輸入は専利権の侵害とみなされない(新設:69条)

但し、専利権者と譲受人とのライセンス契約に、中国領域での販売を認めないという合意及び明確な表示があった場合、並行輸入が差止められるかについては不明である。

(7)Bolar例外条項の導入(新設:69条)

行政認可申請のために行われる専利医薬品等の実施は専利権侵害とみなされないというアメリカの「Bolar例外条項」に相当する条項が導入された。

4.専利の強制実施許諾の強化(48条、50条(新設)、52条(新設)、54条、57条)

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