お知らせ

2010年4月から施行される新たなEPC規則の概要

2010年4月1日から、新たなEPC規則が施行されます。今回のEPC規則の改正には、ヨーロッパでの特許実務に大きく影響するものが含まれています。
新たなEPC規則の概要は以下のとおりです。

1.独立クレームについて(※)

各カテゴリー(物、方法、装置、用途)において、独立クレーム1個のみに限定されます。EPOがサーチを行う前にこの要件を満たす必要があり、あるカテゴリーに2つ以上の独立クレームが含まれる場合には指令がなされ、2ヶ月以内にいずれかを選択する必要があります。指令に応答しない場合には、自動的に最初に記載された独立クレームがサーチの対象となります。
この指令は、単一性の要件とは無関係であり、追加サーチ料の支払いは認められません。つまり、各カテゴリーについて、独立クレームは常に1個だけとなります。なお、この指令の要件は、単一性の要件とは別であるため、各カテゴリーについて独立クレームを1個に限定しても、その後のサーチあるいは実体審査で単一性違反が通知される場合もあり得ます。

2.サーチオピニオンに対する応答(※)

欧州調査報告(European Search Report)に添付されるサーチオピニオン(Search Opinion,見解書)に対して必ず応答しなければなりません(改正前は任意応答)。応答しない場合には出願取下とみなされます。
(1) PCT経由でのEP出願の場合(EPOが国際調査機関でない場合)は、審査続行の確認期限である6ヶ月以内に応答する必要があります。
(2) 直接EP出願の場合は、サーチレポートの公開から6ヶ月以内に応答する必要があります。

3.補正(※)

サーチオピニオンに対する応答が、自発補正の最後の機会となります。それ以後は、審査官が同意した場合のみ自発補正が可能です。
補正する場合には、補正箇所の明示と補正の根拠の明示が必要となります。補正の根拠の明示がない場合、根拠の明示を求める1ヶ月の応答期間が設定されます。

4.分割出願(※※)

(1) 自発的分割出願は、親出願が係属中であって、しかも最先の出願における最初の審査報告書から24ヶ月以内に制限されます。「最初の審査報告書」は、審査部での実体審査での最初の審査報告書であり、サーチレポートではありません。



(2) 必要的分割出願(単一性違反に対する分割出願)は、親出願が係属中であって、新たな単一性違反の審査報告書から24ヶ月以内に制限されます。単一性違反の審査報告書は、審査部での実体審査でのものであり、サーチレポートではありません。サーチレポートで単一性違反が見出された場合、実体審査においてもその単一性違反がそのまま踏襲されることになりますが、この場合でもサーチレポートではなく実体審査での単一性違反の審査報告書から24ヶ月以内に制限されます。2回目以降の審査報告書において前回の単一性違反が再度確認された場合でも、24ヶ月の期限は最初の審査報告書からスタートします。新たな24ヶ月の期限がスタートするのは、新規で異なる単一性違反が通知された場合のみになります。



(3) 通常、実体審査の最初の審査報告書において単一性違反も同時に通知されます。したがって、多くの場合、自発的分割出願の24ヶ月の期限と、必要的分割出願の24ヶ月の期限は同時にスタートし、同時に満了することになります。

5.分割出願についての経過措置(※※)

(1) 2010年4月1日以降の全ての分割出願に適用されます。
(2) ただし、24ヶ月の期限は、審査報告あるいは単一性違反の審査報告を受けた継続中の出願にも適用されます。
(3) 2010年4月1日より前に24ヶ月の期限が満了するものについては、さらに6ヶ月、すなわち2010年10月1日までは分割出願が可能です。
(4)2010年4月1日時点において24ヶ月の期限が現に進行しているものについては、そのまま期限が存続します。すなわち、2010年4月1日において係属しており、最初の審査報告書あるいは単一性違反の審査報告書を既に受けているものは、そのまま期限が進行し、2010年10月1日より前に期限が満了することはありません。

※ EPO Notice (2009年10月15日付)
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/journal/informationEPO/archive/20091015.html

※※ EPO Notice(2009年10月15日付)
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/InformationEPO/archiveinfo/20090820.html

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